恋愛。
　あらゆるメディアで、使い古された、キーワード。
　「好き」
　「愛してる」
　溢れかえる囁き。
　ひとつひとつの気持ちは、みんな違うはず。
　それなのに。
　どうして、「恋をする」そのものが、
　マンネリ化してしまうのだろう。

　恋人がいて、あたりまえ。
　好きなひとがいて、あたりまえ。
　そのひとは、特別じゃなくちゃ、いけなくて。
　猫も杓子も、恋をしてる。
　あまりにも簡単すぎる恋の駆け引き。
　友達と恋人の差は変わらなくて、仲良しを恋と思われる。
　ワイドショーやおしゃべりには、「恋」が、欠かせない。

　「好き」の気持ちを、いじくられたくないのは、みんな同じはずなのに。
　隠しておきたくても、掘り返されてしまう気持ち。
　ひとつひとつの恋を、大事にしたいと思うからこそ、重ねられないのに。

　恋はファッションじゃない。
　恋は見栄でするものじゃない。
　恋をすることの価値が、
　あまりにも軽くなりすぎている。
　これ以上、わたしの恋を、かきまわさないで。

　何のために、恋をする？
　何のために、一緒にいる？
　イベントを過ごすための恋は、淋しくない？

　誰かと一緒にいたい。
　そしてその「誰か」が、「あなた」だから、一緒にいたい。
　恋ってほんとは、そういうものだと思う。
　そのひとを特別に思うから、恋をする価値があるのだと思う。
　カタチだけの恋をしないで。

　恋の価値を、これ以上、下げないで。

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