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☆〜十人十色 〜☆ written by 小林あつし(仮名)

たとえば好きな人ができて、想いを告げたいときに選ぶ手段は様々ある。
ぼくは手紙で済ませてしまおうとするけれど、
じかに口で伝えられるならどんなに楽かウラヤマシク思う。

本命を目の前にして話をしようとするとアレコレよけいなことばかり考えて、
勝手に自分を追い詰めるカタチが出来上がってしまう。
普通に会話しているとき、ドモルことなどなかったのにアガってしまい、まともに話ができない。
ただ、嬉しさココに極まれり状態というのは相手にも分かるようで、
邪険に扱われることなく好意的に見てくれる。
おそらく「キミが好き好き光線」だのが、全身全霊を傾けて参りましたあッ、
とオーラになって噴き出しているのだろう。じっさい、そんな気がするし。

ドモリも極まれり、では気持ちが伝わるものの、情けないうえ口説きようがない。
そこで悩める男、アツシ(仮名)は考えた。
過去の恥ずかしい話など文章にして、
クラスメイトに配っていた経緯もあって手紙なら平気じゃないかと。

三部屋しかない狭苦しいアパートに、家族四人がスシ詰め状態で暮らしていたころ。
部屋が一直線に並んだウナギの寝床みたいな構造で、仕切りはふすましかない。
一番奥の部屋に小林家(ここも仮名)総勢四名がキチキチになって眠る。
昼間に手紙を書くと後ろから覗かれてしまうので夜中を選ぶことになるのだけれど、
ぼくの勉強机はキチキチの寝室にあってパソコンのファンやかましく、
キータッチ常に「強打」で「連打」であるからして誰ひとり安眠できない。
手書きで済ませば良い、そう思うだろうけれどヘタな文字ならワープロのほうがマシである。

相手がムードを尊重したりすると、ひからびたミミズ式文字などゴミ同然である。即刻、
「いやだわいやだわ、クネクネで気色悪いわ、こんなのポイだわ」
ゴミ箱へ投げ捨て。

書くにしてもコダワリが欲しい。
たとえばぼくは、他人が見てしまっても恥ずかしいと思わぬように書く。
なんなのコレ、と仲間内をタライ回しにされても平気でいられるように、
細心の注意を払って書くのだ。
いままでのところ、タライ回しの刑に処せられたことはナイと思うけど。

呼び出して、電話して、友人を通じて、カッコつけて手紙書いて、
目線送って見つかって、告白の手段は様々あって、まだまだ他にいくらでもありそうだ。
インターネットでの出会いは相手の顔が分からないので、
面食いのコバヤシは手が出ない。
精神修養に用途を限れば楽しいだろうけど、「逢う」が「遭う」にならぬとも言えない。
ネットの醍醐味が「遭遇」にあると言い切れるなら、ばしばし参加するといいぞ。

相手がパソコンを持っているのなら、ホームページを立ち上げて
秘密のURLなんぞ作って呼び込むのも面白い。
もちろん、その秘密のURLには告白文が掲載されていないと意味無いけど。

告白の手段は人それぞれ、ダメと思って諦めるか、度胸で挑むか、
ここの分岐あんがいデカイぞ。どうせ流れゆく自分の人生、
あとあと後悔しない生き方がどちらにあるか、たまにはバカになるのもいいものさ。
(だからって、ヒトのものには手を出すなよ)

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