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☆〜忘れなくてもいいじゃない〜☆ written by yuki
生涯でこの人だけは忘れられない。
そんな男に出会ったことありませんか?
私は唯、一度だけあります。

彼に捨てられた時、捨てられたという言葉は
的確ではないかもしれませんが、別れを告げられた時、
これからどうやって暮らしていけばいいのだろうと思いました。

そしていまだに私は、彼の匂いにあふれる部屋、
似合うといってくれた洋服、専用の歯ブラシ、
体を重ねたベッドに始まって、よく行ったレストラン、
一緒に見た花火、彼のうちまでの道のり、
全てが一瞬にして色を失って、それでもまだ鮮やか過ぎるもの
の全てに悩まされる生活を続けているのです。

他の人から見たらきっと馬鹿らしいと思うことでしょう。
それでも私にとってそれぞれの輝きは
まだ光を失うことなく輝いているのです。

二人だけの時間が誰にも踏み込めなかったように、
私の想いにもまた他の誰かが
踏み込むことなんてできないでいるのです。

忘れられない男ほど自分勝手でずる賢い部分を持ち合わせています。
そして、そんな部分をはるかに凌駕してしまうほどの
魅力も同時に持ち合わせています。
どうしてあんな男にこれほどまでに執着してしまうのか、
まわりにどれだけ反対されようが、
ずるい部分を何度目にしようが
そんなことお構い無しに彼は私の心に住み着いています。

みなさんはこんな話をきいたことはありませんか?
遺伝子が惹かれあうこと、それが恋の始まりの合図だ と。

私のような経験をしたことがある人なら
誰でもこう思ったことがあるはずです。
彼以外に愛せる人なんていない、
彼を失くすことと引き換えなら他の何を失ってもかまわない、と。

よく恋愛エッセイなどで、近くにいる人の良さを
見逃してしまっているなどとよく見かけますが、
実際私はどこをどう見渡しても「いい人」以外の
何者でもない人しか見つけられませんでした。
どんな男性も私の心に触れることはなかったのです。
そして私は一つの答えを見つけました。

「彼を忘れる必要なんてどこにもなく、
 そしてまた、彼の代わりを探すのは無理だということ。」

忘れる必要がどこにあるのでしょう。
あんなにも深く愛し合った人をどうして
時間の経過とともに忘れられるでしょう。
あなたが、私が、彼と愛し合った時間は
ほんの人生のなかの一部分であったかもしれません。
しかし、その時間は一番あなたを
輝かせた時間だったことでしょう。

忘れることもない、だから思い出すことなんてない。
そばにいなくても体の全ての器官が彼をおぼえているでしょう?
それでいいのです。それこそが、あなたが彼を
愛していたという証拠になるでしょう。

一生懸命愛した。
だけど二人の歩く道は分かれていたのです。
すごくすごく切ないことだけれど。

もう彼をこの手に抱くことはないんだという事実が
心の底に沈むまでは、逃げてもいいんです。
うわさ好きな女友達に打ち明ける必要さえないのです。
あなたはあなたの愛し方で彼を愛し、
そして彼も彼なりのやりかたではあったかもしれないけれど
あなたを愛していたと思います。

今はただ、そんな彼に愛された自分をもっといたわってください。
あなたはかつて彼に選ばれたのだということを思い出してください。
忘れられない男は女性を成長させることがとても上手です。
いつかあなたの忘れられない男の次に愛しいと思える人に出会った時、
忘れられない男の色は少しだけ鮮やかさを失っているかもしれません。
代わりにあなたを彩る全てが輝きを増していることと思います。

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